『踊ってミタ』(ネタバレあり)新進気鋭の若手女優に期待してミタ話(加藤小夏×武田玲奈出演)

映画レビュー
出典:映画.com

本日取り上げるのは岡山天音×飯塚俊光監督の3度目のタッグ作品『踊ってミタ』。

この作品は、「踊ってみた」「ボカロ」「Vtuber」など日本発のインターネットカルチャーを題材にした初の映画で、「町興し」のため、つながりの薄かった人間たちが「踊ってみた」を通じて触れ合い、一歩踏み出し、自身と向き合うことで生きる活気や絆をとり戻してゆく姿を描く、観るものを熱くする地方再生型ヒューマン・ダンスムービーです。

それではいってみましょー♪

公式ホームページはこちら

ストーリー

映画『踊ってミタ』公式サイトより

スマホひとつで誰もが発信できる時代。東京で映像作家の夢破れた三田(岡山天音)は、春野山町役場シティプロモーション課で働いていた。
深刻な過疎化、観光資源なし、あるのは名物・干し芋と自然だけ。イケてるクリエイターとはあまりにもかけ離れたド田舎で、三田は現状を認められないまま腐っていた。

そんな折、町を活性化しろとの町長・丸山(中村優一)の命令で観光動画を制作することになる。
「最高にかっこいい映像作るしかねぇだろ!」しかし意識は高いがセンスはゼロの三田。
見かねた同僚の真鍋(武田玲奈)の提案により“踊ってみた”動画作成をスタート!だが、期限はたったの2週間。

集まった踊り手は、真鍋の妹で金髪ヤンキーのミネタ(横田真悠)、盆踊り大好き外国人ダリ(えんどぅ)、そしてパラパラを踊るお爺ちゃん(ルー大柴)とその孫(川原瑛都)のたった4人…。
さえないメンツに気落ちする三田は、ご当地アイドル“星いもco.”の元メンバー・古泉ニナ(加藤小夏)が町にいることを知り、加入を迫るが「変態」と罵られ取り付く島もない。まとまらないメンバーに町長の無茶ぶり、町の人にも白い目で見られ制作は難航。 それでも、三田の奮闘により完成が近づくなか、町全体を揺るがすネット大炎上事件が起こる。

町長は辞職し、なぜか責任を問われた三田はついにブチ切れ、シティプロから逃げ出してしまう。
動画制作を真鍋に押し付け“すぐやる課”に異動した三田だったが、偶然シティプロ解体の危機を知る。新町長からの存続の条件は町のイベントで“踊ってみた”を生配信し、1万人同時視聴を達成という到底無理な命令だった…。

                                          (公式サイトより引用)

スタッフ

監督・脚本 飯塚俊光(『チキンズダイナマイト』、『ポエトリーエンジェル』)
製作 與田尚志 、 菅野征太郎
音楽 40mP
企画開発・プロデュース 和田隆
美術 安藤秀敏
編集 飯塚俊光 、 佐藤稔浮
録音 池田知久
音響効果 丹雄二
エグゼクティブプロデューサー 加藤和夫
振付 めろちん
ヘアメイク 久乃
助監督 羽生敏博
照明 田中充
ライン・プロデューサー 植田中
整音 丹雄二
撮影監督 伊藤俊介
スタイリスト 山川恵未
制作担当 齊藤光司
宣伝プロデューサー 斎藤貴晴

キャスト

映画『踊ってミタ」公式サイトより
  • 三田    …… 岡山天音
  • 古泉ニナ   …… 加藤小夏
  • 丸山町長   …… 中村優一
  • 真鍋    …… 武田玲奈
  • ミネタ   …… 横田真悠

感想(ネタバレあり)

マラソンで例えるなら、15キロ地点までは順調に走ってたのに突然コースを外れて「気付いたら競歩してました」みたいな作品!
でも、女優陣はみんなフレッシュで超可愛かった!

 

2018年に『痛快TV スカッとジャパン』(フジテレビ系列)で加藤小夏を見てからその存在が気になりだし、今回映画のヒロインに抜擢されたとのことで新宿シネマカリテまで観に行ってきました。

監督・脚本をつとめるのは飯塚俊光
2012年に『独裁者、古賀。』で伊参スタジオ映画祭のシナリオ大賞を受賞し、その後、福岡インディペンデント映画祭2014、PFFアワード2014、第8回田辺・弁慶映画祭など様々な映画祭で高く評価された期待の監督です。

主役は2019年に日本テレビ系で放送された『同期のサクラ』(脚本:遊川和彦)で土井蓮太郎役を演じた岡山天音(高畑充希が演じた北野サクラの同期役。根暗なアイツです)

ヒロインはオーディションによって選ばれ、本作が映画本格女優デビューとなる加藤小夏。 また、三田と同僚の観光課職員・真鍋役を『ポエトリーエンジェル』で岡山とダブル主演し、『チキンズダイナマイト』にも出演した武田玲奈が演じています(ちなみに岡山×武田×飯塚監督は3本目の作品です)

他には町の活性化を三田に命じる若手町長・丸山役を『仮面ライダー電王』の中村優一、ヤンキー風講師・ミネタ役を『Seventeen』専属モデルをつとめる傍ら女優としても活動している横田真悠が務めます。

 

そして、ここからが感想です。
まず、本作の主な注目ポイントは次の3つが挙げられます

  • 「踊ってみた」「ボカロ」「Vtuber」など日本発のインターネットカルチャーを題材にした初の映画
  • 「踊り」を彩る音楽に“40mP”、 振付に“めろちん” 再生回数累計1億超のスタッフが集結
  • 制作費をクラウドファンディングで集める(3,097,618円集まったらしい)

要するに、ネットやSNSの世界で活躍するクリエイター×注目の若手俳優たちがタッグを組んで撮られたのがこの作品です。

僕自身、「踊ってみた」「ボカロ」「Vtuber」の類にはめっぽう弱いのですが(なのでこの評では音楽的なことやVtubeに関する言及はしません。不勉強すぎるので)、公式ホームページに『再生回数累計1億超のスタッフが集結!』と書いてあったので、まあ、好きな人には刺さるメンツなんでしょう。

でも、どれだけ音楽が良かろうが(分かんなかったけど)、ダンスが素晴らしかろうが(もっと分かんなかったけど)、ハッキリ言えるのは中盤~終盤の展開が雑すぎるってことです。

映画『踊ってミタ』公式サイトより

まず、主役の三田(岡山天音)は映像作家として一旗揚げてやろうと東京へ行ったものの、センスがなさすぎて仕事を辞めざるを得なくなり、田舎に出戻って来た青年です。


現在は、春野山町役場のシティプロモーション課(HPには観光課ってありますけど、イメージとしては地域振興課ですよね)で働いているものの、周りの意見には全く耳を貸さず「これがTOKYO styleっすから」「こんなのTOKYOじゃ普通っすよ」と拗らせまくり。

でも、そんな1ミリも役に立たない三田を、同僚の真鍋(武田玲奈)がさり気なくフォローしつつ何とか平穏な(それはつまり何の刺激も無い)日々を過ごしています。

すると、ある日。町長の丸山(中村優一)から シティプロモーション課に町の過疎化を食い止めるべく観光動画を2週間で制作するよう指示が飛び、その流れで町民参加の「踊ってみた」動画を制作することになります。

でも、ネットで動画の出演者を募集するも、女ヤンキー外国人おじいちゃんその孫しか集まりません。そのことに焦りを感じ始めた三田はご当地アイドル“星いもco.”を辞めたばかりの元メンバー・古泉ニナ(加藤小夏)が町にいることを知り、スカウトに乗り出します。

というのが全体の3分の1ぐらいです。
その時の僕の気持ちがこれです。

「うん、うん。これで紆余曲折ありながらも加藤小夏+観光名所で「踊ってみた」を撮って、動画サイトにアップしたらバズって町が活性化する話なのねそれで色々と拗らせてる岡山君と加藤小夏が成長するなら面白そうだ」

普通そう思うじゃないですか。てか、それでいいじゃないですか。
でも、違ったんです。ここから物語は少しずつおかしな方向へと走り出します。

 

物語の中盤でロリコン町長が失脚し、新町長が誕生。その影響でシティプロモーション課が解体の危機を迎え、存続したければ町のイベントで“踊ってみた”を生配信し、1万人同時視聴を達成せよという謎の命令が下ります。

……おや?

はい、そうです。最初は「町おこし」を目的に始まった「踊ってみた」が、「シティプロモーション課解体を阻止するための手段」にすり替わりました。

そして、ダンスチームにニナと何故か主催者側の三田&真鍋が加わり、何故か屋内のライブハウスでダンスの発表会が始まります。いやいやいや……

 

 

屋内でやったら1ミリも地域の魅力が伝わらんでしょうが!

てか、過疎化が進む田舎町の屋内で完全なド素人が踊ってるライブ映像なんて1万人も同時再生しないでしょうが!!

そもそも、本当に“星いもco.” が東京で売れてんなら、何としてでもそいつら引っ張ってきなさいよ!

 

てな感じでね。もうご都合主義のオンパレードで逆に難解なんです。

僕も詳しくはないんですけど、本来「踊ってみた」の魅力って、ダンスの上手さやコンテンツとしての面白さにあるんじゃないんですか?
大大大成功!!!みたいになってましたけど、あのレベルのダンスと映像にそこまでの“引き”ってあるんですかね。よく分りません。

そもそも、町の過疎化やインターネットカルチャー云々と言っておきながらサラリとなぞるだけで全然本質に突っ込んでいかないし、本当グッダグダだと思います。「町おこしムービー」なのにラスト町が活性化しませんしね。結局、題材として取り上げたものの、作り手たちがそこまで「踊ってみた」に可能性を感じてないんだろうなぁとしか思えませんでした。

 

でもまぁ、「踊ってミタ」や「ボカロ」「Vtuber」の文脈をちゃんと理解している人なら楽しめた部分も沢山あったんだろうし(出演者とか楽曲とかね)、今回は勉強不足のせいで自分には理解できなかったと納得することにします。

映画『踊ってミタ』公式サイトより

あ、加藤小夏は持ち前のクールビューティーさも発揮できててすごい良かったです。
ヒロイン(2番手)なのに出演時間や演技は完全に武田玲奈に食われてましたけど、これからの活躍が大いに期待できます。皆さんも是非チェックしてみて下さい。

これから羽ばたいていく新進気鋭の若手女優が観れるという点で、
踊ってミタ』オススメです!

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